結局なにも行動できない…。
このような悩みをお持ちの方におすすめなのが「君たちはどう生きるか」です。
原作は1937年に児童向けに発行された吉野源三郎さんの長編小説。本書はそれを現代版リメイクした漫画です。この本の素晴らしさを広く普及させたいという思いが実現し、2018年でもっとも売れた本になりました。
本編のあらすじ
主人公は中学2年生のコペル君こと本田潤一。父は他界しており、母親と二人暮らし。そこに出版社に勤めていた叔父さんが引っ越してきて、コペル君の面倒をみていくストーリー。
実は叔父さんは他界したコペル君の父から「コペル君を立派な大人に育てたかった」という思いを受け継いでいます。叔父さんはコペル君を立派な大人にするため、子供向けの本を書いてくれる作者を探していました。
しかしなかなか作者は見つかりません。それなら自分で書いてしまえ、ということでコペル君に向けたノートを執筆します。
ある日コペル君が友達を裏切ってしまいます。自分がやってしまったことに後悔し、学校にもいかなくなりました。そんな時、叔父さんがコペル君に向けて書いたノートをお母さんから渡されて物語はスタートします。
人を思いやる気持ちを忘れるな
僕がこの本を読んだ教訓を1行にまとめるなら「人を思いやる気持ちを忘れるな」です。コペル君は友達を裏切ってしまったことを後悔して、学校にも行かず現実逃避します。間違いをおこした時は、人を思いやることを優先にすると”自分は今からどうすべきか”がわかります。
本書のタイトルである、君たちはどう生きるか。この問いに対してもぼくは「人を思いやる気持ちを忘れない」という答えを出します。
他人と比較するのが人間
私たちは他人と比較して自分を評価しています。下記は叔父さんのノートからの一文です。
誰にせよ、眼が三つないから悲しいと思ったことはないだろうが、目が一つしかなければ慰めようのない思いをするものである。
例えば血液データの基準値は一般的な健康体のデータをベースに作られています。基準値があれば、自分の健康状態を客観的にみることができますよね。
自分は周りと比べてどうか。
周りと比較して自分を惨めに感じたりするのが人間です。人間が猿とは違って進化していったのは学問を修めたところに違いがあります。言葉を使って経験を伝え、新たな知識をつけることで人間は進化していきました。
人を思いやる行動は人にしかできない
友達と喧嘩したり、恋人から嫌われると強い悲しみが起きますよね。この時のどうしたらいいかわからない”強烈なつらさ”は、正常な状態に戻りたいと強く望むから生じます。もしそうでなければ、嫌われてもなんとも思わないはずです。
「愛の反対は憎しみではない。無関心だ。」
これはマザーテレサの言葉ですが、憎しみなどの感情は相手の行動などに嫌悪感を感じるから生まれます。嫌いなうちは、相手のことを思っている証拠です。自分が好む性質とは違うから相手、または自分に変化を求めるんですね。
「あの人にひどいことをしてしまった。」そんな悔恨の思いに打ちひしがれた経験が誰にでもあると思います。
なぜ悔しいか。それは自分の行動に改善する余地があったからだと思います。
「こうしていれば傷つけずにすんだ」
「余計なこと言わなかったら…」
人を思いやる気持ちがあるから悔しくなる。ではこの悩みを教訓に、次からはどうするか。それは自分で考えて行動するしかありません。
過去の自分が背中を押してくれる
人を思いやるからこそ後悔もする。その後悔した経験が、次の思いやりの後押しになる。そうやって人間は成長し、よりやさしくなれると思います。
世の中は自分中心に回っているのではない。
ーーー誰かのためにという小さな意志が世の中を回している。
本書の最後に使われている言葉です。自分中心だと、人を思いやる気持ちが出ません。
君たちはどう生きるか
原作の発刊から80年たち、漫画としてリメイクされた本書。今も80年前も、もっと昔も。人の悩みはいつも対人関係についてが主です。
そんなあなたには勇気を与える一冊になるのではないかと思います。